患者さんの病にともに立ち向かう。 最も身近な医療スタッフ—病棟看護師として。

近藤 園美さん
小牧市民病院 看護師
近藤 園美さん
静岡県生まれ。
2001年3月、日本福祉大学情報社会科学部情報社会科学科卒業。
2001年4月から営業職として証券会社に約1年半勤務するも、スポーツ中の怪我で手術と入院を余儀なくされたことを契機に退職。入院中の約1カ月半の間に、かねてから関心を持っていた看護師を目指し、受験勉強に励む。2003年4月から看護専門学校で3年間学び、看護師免許を取得。卒業後の2006年4月より、小牧市民病院で病棟担当看護師として勤務している。

看護師を目指されたきっかけをお聞かせください。

 私が最初に看護師の仕事に興味を持ったのは、父が病気で倒れて入院した中学生の頃でした。危険な容態が続き、家族が泊まり込みで付き添いをしていると、私たち家族に優しく声をかけてくださる看護師さんがいらっしゃいました。患者だけでなく、不安で一杯な家族までもいたわる姿に胸を打たれて以来、看護師の仕事に興味を持つようになりました。退院後も自宅で倒れたり、入退院を繰り返す父を見る度、私に医療の専門知識があればと看護師への思いが強くなっていったのを覚えています。
 大学、社会人(もしくは就職)と進路を決める局面には、必ず選択肢の1つに看護師がありました。そんな私が日本福祉大学の情報社会科学部を選んだのには、高校生時代に発生した阪神・淡路大震災が関係しています。人を支援することができるのは看護師だけではなく他の仕事でもできます。私は、インターネットを活用した情報面での被災地支援ができるのではないかと考え、進路を決めました。その後、一般企業に就職しましたが、看護師への道を諦めきれず、看護専門学校で学び直し、現在に至ります。

病院での業務内容を教えてください。

 私の勤める小牧市民病院は、緊急・重篤な状態にある患者さんに対し、高度で専門的な医療を24時間体制で提供する急性期病院です。周辺地域に急性期病院が少ないことから、市外から来院される患者さんも多くいらっしゃいます。その中で私は、小児科・耳鼻科・口腔外科病棟を担当する看護師として、点滴や採血など患者さんへの医療的処置をはじめ、食事や排泄などの日常的援助から精神的援助までをトータルに行っています。仕事では、患者さんやそのご家族の方とコミュニケーションを図る中で、患者さんの些細な変化を知ることを心がけています。少しの変化に気付くことで早期発見・早期対応に繋げることができるからです。また、変化に気付いた上で、処置が必要な状態か、経過観察する状態なのかを判断できる専門知識も必要なことから、院内外で開催される研修にはできる限り参加し、積極的に勉強しています。

高齢化社会において、病院にはどのようなことが求められていますか。

 高齢の患者さんが増えているため、入院時から退院後の生活を見据え、援助を行っています。入院をすると体力面だけでなく、精神面も落ち込んでしまいます。高齢になるほど、退院後に以前のような生活に戻ることは困難になります。そこで、入院時から患者さんの生活状況などを把握し、それを考慮した退院後の支援を実施しています。主に入院患者の在宅への支援調整を行う退院調整室を設けたり、入院中の相談から介護保険利用にあたっての説明や手続きの支援などを行うメディカルソーシャルワーカーや、訪問看護部門などがあります。他にも、より専門的な知識をもった認定看護師が指導・相談を行ったり各専門スタッフによるチームが週に一度の頻度で回診したりするなど、看護師が患者さんについて相談できる環境が整っています。即返答が必要な状況であれば、電話や直接病棟に駆けつけて相談に乗っていただくこともあります。このように患者さんの一番近くにいる看護師が、関わり合いの中で気付いたことを各専門スタッフと連携して相談できる環境の構築が必要不可欠です。

今まで仕事をされてきた中で、印象に残っている出来事はありますか。

 癌で突然余命宣告を受け、その上緊急手術が必要と診断された若い患者さんがいらっしゃいました。現実を受け入れられず、物凄く動揺して泣いているような状況でしたが、緊急手術の準備が整うまでの約1時間、担当看護師として患者さんに寄り添いできる限りのサポートを行いました。その患者さんが手術に向かう際、私の手を強く握って語りかけてくださった「あなたのおかげで勇気を出して頑張っていけそうです」という言葉が今でも忘れられません。僅かな時間でしたが、突然の宣告でなおかつすぐに手術を受けなければならないという状況の中で、患者さんが前向きに立ち向かっていく手助けを微力ながらもできたことが嬉しかったです。もし私が患者さんの立場だったらと考えさせられる出来事でもあったので、とても印象に残っています。病院ですから、辛いことや悲しいことに向き合わなければならない機会も少なくありません。近くで接してきた患者さんがお亡くなりになると、どうしても涙が出てしまうこともあります。しかし、悲しみを引きずってばかりはいられません。その患者さんに学ばせてもらったことを、自分自身の力として次の患者さんのケアに活かそうと自分に言い聞かせ、気持ちを切り替えるようにしています。病に立ち向かっていく患者さんに、看護師として前向きな手助けをすることができることにやりがいを感じます。

015年4月に日本福祉大学東海キャンパスが開設され、看護学部が誕生します。 先輩看護師として大学に期待することは何ですか。取材:2015年

 高齢者の増加に伴い、医療・看護の現場でも、その先にある在宅介護などの福祉の側面が重要課題として上がってきています。私も在学時に他学部聴講で受講した社会福祉や医療福祉に関する講義が、仕事に大きく関わってきていることを感じています。看護師の資格を取得するためだけに学ぶのではなく、大学の特長でもある福祉系科目を広く学び、医療の現場でその力を発揮できる人材が育成されることを期待しています。また、医療現場では、医療スタッフと患者さんが同じ目標に向かって治療に専念することが重要です。お互いの気持ちにズレがあると、治療に対する方向性が失われるだけでなく、患者さん自身が心の扉を閉ざしてしまいます。患者さんの中には体調が優れず、話をする事さえも辛い状況下にある方もいらっしゃいますから、ちょっとした表情の変化や動きなどから意思を読み取る非言語的なコミュニケーションも重要となります。そのため、学生生活の中で、授業はもちろんですが、ボランティア・アルバイトなど様々な社会経験を通じて相手のちょっとした表情や動きを意識して過ごし、コミュニケーション能力を身に付けてほしいと思います。看護学部の卒業生と一緒に働ける日を楽しみにしています。

最後に同窓生に向けてメッセージをお願いします。

 看護師の立場から、「健康」と「幸せ」は、密接な関わりがあると思っています。現代社会はストレス社会ですから、身体の健康もさることながら、心が健康であることが重要です。“身体の健康”と“心の健康”の両方が保てなければ、幸せを実感しにくいのではないでしょうか。私の場合は好きな仕事を行い、余暇を十分に楽しむことが“身体の健康”と“心の健康”の維持につながっています。現在は育児休暇中ですが、育児と仕事を両立して働き続けていきたいと思います。同窓生の皆さんには、食事・運動・休息・余暇を上手に取り入れながらストレスを発散し、「健康」で「幸せ」な日々を過ごしていただきたいです。

お知らせコーナー

妙院だより「きずな」
小牧市民病院
「開かれた病院」を目指す小牧市民病院では、病院だより「きずな」を通して、ご利用いただく市民の皆様をはじめ多くの方々に病院について知っていただきたいと考えております。また、皆様からいただいたご意見に対する回答も掲載しております。病院だより「きずな」は、小牧市民病院1階総合受付カウンターから自由にお持ちいただけるようになっております。
(2015年発行 日本福祉大学同窓会会報114号より転載)