何事も経験することが、 自分を大きく育てる。

鈴木幸博さん
パルステック工業株式会社 代表取締役社長
鈴木幸博さん
静岡県生まれ。
1981年3月、日本福祉大学経済学部経済学科卒業。
機械メーカー営業職などを経て、1985年パルステック工業株式会社に入社。営業部長、製造管理部長、経営管理部長を歴任後、2009年に取締役営業部長に就任。2011年12月から代表取締役社長を務める。電子応用機器・装置の製造および販売を主要事業に、近年ではX線残留応力測定装置を開発し、新規事業としてヘルスケア事業にも精力的に取り組む東証2部上場企業を率いる。

現在の会社に入社されるまでいろいろな体験があるとお聞きしましたが。

 大学卒業後、有線放送を全国展開している企業に新卒として入社。浜松エリアを担当し、店舗を回っては有線放送の契約を獲得する営業の仕事でした。全国に事業所があるので、所長になるとどこにでも転勤しなければならず、日本全国を転々とする所長たちを見ていると、地元の浜松でずっと働きたいという思いが強くなりました。若いときから思い立ったらすぐ行動に移すタイプでしたので、すぐに退職を決意し辞めてしまいました。
 当時、よく通っていた喫茶店で顔馴染みだったお客さんに溶接機械を製造する会社の営業課長がいて、「ブラブラしているならうちの会社に来ないか?」とスカウトのような形で声を掛けられ、元々、機械をつくるようなエンジニア系の仕事が好きだったことが決め手になり再就職しました。オートバイをばらしてエンジンを外し、ピストンリングを取り替える程度はよくやっていました。
 再就職先の取引先は、大手自動車メーカーの一次下請けで、機械の仕様打ち合わせを行い、価格交渉を経て、受注生産するという流れでしたが、やってみないと気が済まない性格でしたので、自ら図面を描き、簡単な溶接や加工もこなし、ちょっとした製品は自分でつくるなど、好き勝手をやっていました。
 そのようなことを毎日繰り返していたら、退社時間はいつも午前様状態で、寝る時間も必然的に少なくなり、このままでは身体がもたないと判断して職安へ行ったところ、パルステック工業株式会社の求人票が目に入り、電気の分野を見てみたいという好奇心もありましたので入社を決意しました。
 浜松には、オートバイ・自動車、楽器、計器等の大手メーカーがあり、生産工程や検査工程で使用する特注品の検査装置や測定器のニーズも多く、毎回仕様が違うので、好奇心が旺盛でなんでもやってしまう私に合っていたと思います。前の会社では、簡単なものであれば自ら製作していましたので、そのような経験が大いに生きました。何事も体験を通して理解していくタイプですので、広く浅くですが知識や経験も身に付きました。

会社の事業内容の特色を教えてください。

 弊社は、創業当初から産業社会の発展に貢献できる「研究開発型モノづくり企業」をスローガンに掲げ、お客様の生産性や品質向上に欠くことのできない検査・調整・評価等に関連する自動化ならびに省力化機器・装置を開発してきました。
 入社当時に比べ、事業内容は大きく様変わりしています。主力の光ディスク関連機器・装置が業界標準機に位置付けられ、CD、DVD、BDの発展とともに業容を拡大しましたが、光ディスクはニッチな市場であり、設備ニーズが減少すると一気に製品が売れなくなり、業績も惨憺たる状況になりました。

 昨年販売を開始した「ポータブル型X線残留応力測定装置(μ-X360)」は、世界初といえる画期的な新製品で、これからの主力製品として大いに期待しています。
 特長としては、金属の「残留応力」「残留オーステナイト」「半価幅」を測定対象とし、小型、軽量、高速測定、非破壊測定、少ないⅩ線量、現場測定、低価格など、従来装置との比較では、多くの項目において優位性があり、金属材料等の工程改善、品質向上に欠くことのできない装置といえます。
 関連業界としては、自動車、建築、土木、飛行機、船舶、プラントなど、幅広い分野で活躍が期待できます。

 また、レーザを使用した3Dスキャナも主力製品のひとつで、非接触で三次元データを取得することができます。主に、自動車業界で使用されており、金型で作られたボディやフレーム、ドアなどを3Dスキャナで計測し、そのデータとCADデータを比較することにより、品質管理の用途に使われています。
 環境への取り組みとしては、ISO14001の認証を取得し、事業活動を通じて、省資源・省エネルギー・廃棄物の削減に取り組み、環境負荷の軽減に努めています。ソーラーパネル、バッテリー、高輝度・長寿命のLEDを組み合わせた太陽光発電型LED照明灯は、環境に優しく、経済性の高い製品です。【写真】ポータブル型Ⅹ線残留応力測定装置(μ−X360)

社長になられるまでの経過はいかがでしょうか。

 1985年に入社後、営業を担当し、2000年営業部長、2002年には調達、生産管理、品質管理を統括する製造管理本部長、2005年には、経営企画、総務人事、経理を統括する経営管理本部長を歴任してきました。2008年から再び営業を統括することになり、2010年に取締役就任、2011年12月に代表取締役社長に就任して現在に至ります。
 私自身、社長になることなど全く考えていませんでしたが、リーマンショックや東日本大震災の影響もあり、経営層の若返りを図り、業績を立て直さなければならない状況でしたので、私を推してくれた周囲の仲間たちのためにも、その期待に応えなければと決意を新たにしました。企業である以上、株主、取引先、従業員に対しての社会的責任を果たさなければなりませんので、まずは業績を回復させ、安定した業績を残すことが社長の責務であると考えています。

大学時代、自身を振り返ってどんな学生でしたか?

 思い返してみると、自由な学生生活を楽しむ大学生だったと思います。風呂とトイレが共同の4畳半の部屋に下宿していましたので、健康面に気を使い、自分で生活をやりくりすることで自立心を育む良い機会になりました。アルバイトは、トラック運転手、交通量調査、工場勤務、倉庫内荷受けなど体を動かす仕事をあれこれやりました。社会人になってからも、バイクで北海道一周をしました。振り返ってみても若い頃は無茶苦茶していましたね。それが今では社長ですから(笑)。もし今、私が大学生に戻れたら、人間関係や接客方法を勉強する意味でも人と接するアルバイトをしているでしょうね。

同窓生や在学生にメッセージをお願いします。

 海外に事務所や関連会社がありますので、商談や展示会に行く機会も多く、海外が非常に身近になったと実感します。語学を勉強して海外に進出した方が、幅広く仕事ができる可能性が広がっています。
 在学生の皆さんには、海外を意識した学生生活を過ごしてほしいものです。危険も伴いますが、バックパッカーとして世界を旅することもいいのではないでしょうか。実際、私も仕事で海外に行った際、現地に行ってはじめて理解できることが数多くありました。そういう経験をしている人はおそらく、生き方や物事の考え方などが違うはずです。それらの経験を自身の思い出に留めることなく、社会に対していい方向に転換できれば、きっと活躍の場は広がっていくと思います。

お知らせコーナー

パルステック工業株式会社
パルステック工業株式会社
〒431-1304
静岡県浜松市北区細江町中川7000番地の35
TEL (053)522-3611(代)
FAX (053)522-3666
(2013年8月10日発行 日本福祉大学同窓会会報111号より転載)